~腰椎椎間板ヘルニアとは~
背骨は中央部に脊柱管という空洞があり、神経の通り道になっております。背骨と背骨の間は椎間板という軟骨があり、椎間板が破綻し、脊柱管に突出した状態を椎間板ヘルニアといいます。腰椎で椎間板ヘルニアが起きると、神経を圧迫することで下肢の痛みやしびれを起こしたり、運動の麻痺を起こすことがあります。
~症状~
腰部、殿部、下肢の痛みやしびれが出現します。起き上がり動作や寝返りなどの腰を捻ったり曲げたりする動作で痛みが走ることがあります。圧迫が重度になると下肢の運動麻痺を起こし、膝や足首の力が入りにくくなることがあります。
~治療法の選択~
1)投薬治療
神経の痛みを抑える薬や神経の血流をよくする薬などで痛みやしびれを抑えます。
2)リハビリ治療
腰回りの筋力を改善することで腰椎のぐらつきを軽減し、痛みやしびれを起きにくくします。
3)ブロック注射
神経周囲に注射を行い、痛みやしびれを緩和します。
4)手術治療
全身麻酔をかけて飛び出した椎間板を切除して神経の圧迫を改善させます。
椎間板ヘルニアは自然吸収が起こるため、時間の経過とともに改善することが多いです。下肢の痛みやしびれについては投薬治療やリハビリ、ブロック注射で軽減することは可能です。自然吸収されずに神経の圧迫が持続して痛みやしびれが改善しない場合や高度の運動障害が出現した場合は手術を行うことがあります。
~手術療法~
●内視鏡下ヘルニア摘出術背中の皮膚を切開して、内視鏡を挿入します。腰椎の椎弓という部分を露出させます。骨の一部と靱帯を切除して、圧迫の原因となっている椎間板ヘルニアを切除することで神経の圧迫が改善し、神経の回復を促します。
~術後リハビリテーション~
1か月間コルセット固定を行います。歩行は術翌日から可能です。下肢の筋力訓練やコルセット固定による拘縮を軽減するためのストレッチから開始します。コルセットを外した後に低下した腰部の筋力や柔軟性を改善させる筋力訓練やストレッチを行います。腰椎椎間板ヘルニアは一定の割合で再発することがあるため、術後3か月は重いものをもつのを避けることが望ましいです。また、再発予防のために継続的な体幹部のストレッチや筋力訓練が望ましいです。